EC物流を最適化する方法をあなたは知っていますか?
この記事では「EC物流の最適化方法」について解説しています。結論、EC物流を最適化するには、自社の現状を把握し適切な改善方法をとることが重要です。
EC物流を最適化する際に参考にしたい「最適化までの手順」をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「EC物流の特徴」や「EC物流が抱える課題」についても説明していきますので、この記事を読んでEC物流の最適化への参考にしていただければ幸いです。
また「3PL」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
EC物流とは
EC物流とは、EC事業に関わる物流全体のことを指します。物流方法には様々なものがあり、自社で全て運用している企業もあれば、第三者へアウトソーシングして運用している企業もあります。
大切なのは、ECに対応した物流なのかどうかです。
EC物流の主な業務は以下の6つになります。
- 入庫作業
- 検品作業
- 棚入れ・保管作業
- ピッキング作業
- 梱包・出庫作業
- 返品対応
サービスによっては上記以外の対応もしなくてはなりません。自社が扱う商品によっては他にも作業が増える可能性があります。
EC物流の特徴
EC物流には、これまであったBtoBの物流とは大きく違う点がいくつもあります。中でも特徴的なのが以下の4つです。
- 配送先が増えても1件あたりの数量が少ない
- ギフトラッピングや同梱物が必要な場合がある
- ブランドを意識した梱包材を使うと効果的
- フルフィルメントサービスを別途契約するのも可能
それぞれ詳しく解説します。
配送先が増えても1件あたりの数量が少ない
EC物流の特徴の1つに、配送先が増えても1件あたりの数量が少ないという点があります。これは、基本的にBtoCがほとんどだからです。
自分が実際にAmazonや楽天のようなECサイトを使う場合を思い浮かべると非常にわかりやすいのですが、基本的にユーザーが購入するのは1つの場合がほとんどとなっています。
従来のBtoBのようにまとまった数量が必要なくなるため、ECサイトに特化した倉庫管理システムの構築なども必要になるでしょう。
BtoCのやり取りが基本となるECサイトでは、どれだけ配送先が増えようとも1件あたりの数量はどうしても少なくなってしまうのです。
ギフトラッピングや同梱物が必要な場合がある
ECサイトの物流の特徴として、ギフトラッピングや同梱物が必要な場合が出てきます。これはユーザーがプレゼント用として商品を購入する場合があるためです。楽天で買い物をしている方ならラッピング対応の店も多いため、ピント来る方も多いのではないでしょうか。
ギフトラッピングや同梱物は、ユーザーのニーズに合わせて用意する必要があります。例えばギフトラッピングにしても、母の日やバレンタインデー、クリスマスで大きく変わってきます。記念日に合わせて特別な梱包サービスを行うといったサービスがECサイトでは必要となるでしょう。
同様にメッセージカードやのし紙も希望される可能性があるため、対応できるようにしておくと無難です。
ブランドを意識した梱包材を使うと効果的
EC物流では、ブランドを意識した梱包材を使う手法が効果的とされています。なぜなら、注文した商品を箱から取り出す瞬間は、ECサイトで商品を購入したユーザーにとって一番ワクワクする瞬間だからです。ECサイトを使っている方なら、心当たりが多いのではないでしょうか。
梱包から商品を取り出す際にショップ独自の梱包材があると、商品注文から手に取るまで一貫したブランドイメージを保てます。Amazonで購入した商品が、Amazonの段ボールで届いて中身を開けたら商品だけがビニールに包まれて入ってた場合を想像すると、その差が大きいことがわかります。
以上のように、ブランドを意識した梱包材を使うことで、ユーザーの購入体験を維持するという効果を発揮するのです。
フルフィルメントサービスを別途契約するのも可能
フルフィルメントサービスを別途契約することも可能なのが、EC物流の特徴でもあります。フルフィルメントとは、ECサイトで商品を注文してからユーザーに届くまでの業務全般のことです。
要はECサイト運営で必須といっても良い業務を指します。
それらを一手に引き受けてくれるフルフィルメントサービスが提供されているのが、EC物流の特徴です。契約することでユーザーへと効率的なアプローチも可能でしょう。
EC物流は年々増加している
EC物流は年々増加しています。スマートフォンの普及率が8割を超え、国民にとってECサイトが非常に身近なもとなったことも要因の1つですが、後押ししたのは間違いなくコロナ禍です。
2019年 | 21020年 | 伸長率 | |
A..物販系分野 | 10兆515億円 (EC化率6.76%) | 12兆2,333億円 (EC化率8.08%) | 21.71% |
B.サービス系分野 | 7兆1,672億円 | 4兆5,832億円 | ▲36.05% |
C.デジタル系分野 | 2兆1,422億円 | 2兆4,614億円 | 14.90% |
早計 | 19兆3,609億円 | 19兆2,779億円 | ▲0.43% |
以上のデータからも、EC化率の成長に従って物販系分野が伸びているのがわかります。この流れは今後ますます成長していくと考えて良いでしょう。
EC物流を最適化するための課題
EC物流は近年の急激な市場拡大により、それまで表面化していなかった問題点が一気に浮き彫りになってきています。特に以下の4つについては要注意です。
- 注文から発送までの対応スピード
- 配送時の料金設定
- 倉庫管理
- 商品を保管するスペースの不足
それぞれ詳しく解説します。
注文から発送までの対応スピード
EC物流は注文から発送までをスピーディーに対応しなければなりません。なぜなら、スピーディーに対応しないと注文キャンセルになる可能性が高いためです。たった数日間対応できなかっただけでもキャンセルになってしまうケースが多々あります。
そのため注文数に対して必要十分な人員を配置していなかった場合、対応スピードが遅くなるなどで注文を待たせることになってしまい、客離れに繋がってしまいます。
注文から発送までの対応スピードは、EC物流での大きな課題なのです。
配送時の料金設定
配送時の料金設定もEC物流では大きな課題となっています。特に近年の需要増加に伴い、配送業者が人員不足によって悲鳴を上げているのはどこも同じです。宅配網の維持のために料金を上げざるを得なくなってしまった場合は枚挙に暇がありません。
しかし配送料金の値上げはユーザーにとっては一番大きな問題でもあります。配送料金が上がったことで違う店に流れてしまう可能性も大いに考えられます。
そのため配送時の料金設定は、EC物流において喫緊の課題なのです。
倉庫管理
EC物流において倉庫管理は非常に大きな課題となっています。なぜなら、取り扱う商品を保管する倉庫の管理はEC物流において必須だからです。
在庫がないのにも関わらず注文を受けてしまったり、あるはずの在庫を見つけられずに配送が遅れてしまったりと言った場合が考えられます。
ECモール最大手のAmazonが倉庫での商品管理をシステムを用いて効率的に運用しているのは、そういった理由からです。
倉庫管理はECサイト・企業の評判にも直結するため、適切な管理を求められています。
商品を管理するスペースの不足
倉庫管理とセットで課題となっているのが、商品を保管するスペース不足です。特に中小企業の場合は大きな課題となるでしょう。
大手企業の場合、自前で巨大な倉庫を確保するのは比較的容易です。しかし資金的に巨大な倉庫を確保するのが難しい中小企業の場合だとそうはいきません。事業拡大に向けて商品を増やしたくとも、保管する倉庫の問題で増やせないといった場合も考えられます。
以上のように商品を管理するスペース不足は、EC物流を考える上で大きな課題として立ち塞がります。
EC物流を最適化するための手順
EC物流を最適化するために取れる方法は、様々なものがあります。しかしながらそのほとんどは共通した手順を踏むことで最適化へと帰結するでしょう。
最適化を望むのなら、以下の手順で進めるのがオススメです。
- 現状を把握する
- 業務プロセスを改善する
- 物流のためのシステムを導入する
- 3PLなどアウトソーシングする
それぞれ詳しく解説します。
Step1.現状を把握する
EC物流を最適化するためには、まず現状を把握することが必要です。そうしないと最適化するための方法が見えてきません。
現状を把握する最も簡単かつ効果的な方法は、現場のスタッフに話を聞くことです。ともすれば経営陣だけで決めてしまいそうになりますが、それでは実際に現場で働いている社員の意見が全くわからず、現場の作業に相応しくない改善をしてしまう可能性があります。
なるべく細かい部分まで現場の社員にヒアリングし、現状を把握するようにしましょう。
Step2.業務プロセスを改善する
現状を把握したら次は業務プロセスの改善を行います。現状把握により、ようやく改善すべき点が見えてくるからです。
EC事業の場合、特に業務の可視化が最も重要です。倉庫の管理費はもちろん、様々なコストを細分化して見える化することで、社内共有もしやすくなり社員全員の意識を統一できます。それにより企業全体の利益に繋がる共通指標を示すことも可能となるでしょう。
業務プロセスの改善は、EC物流を最適化するために必須の行程です。
Step3.物流のためのシステムを導入する
物流のための新しいシステムを導入しましょう。物流に関する行程をシステムで一括管理することで、効率的な物流業務を行えるためです。
システム導入によって様々な恩恵を得られますが、デメリットももちろん存在します。
特にシステム導入前と導入後で大きく業務フローが変化する可能性が高く、社員の研修や導入後のアフターフォローが必要です。そのため金銭面・人員面でのコストが大きくかかります。
しかしEC物流を最適化するには非常に効率的な方法です。
Step4.3PLなどアウトソーシングする
EC物流を最適化するのなら、物流をアウトソーシングすることも有効な手段です。中でも3PLはその最たるものでしょう。
特に倉庫で商品を保管できなくなったり人員を割けなくなったりした場合に有効的な情報となります。EC物流に関するコストを下げられるので、自社のコア事業に人員を割けるというメリットもあります。
そのためEC物流の効率化を考えるなら、導入を検討してみるのもオススメです。
デメリットとして自社にEC物流のノウハウが蓄積しないので、定期的に研修を行うなどの対策は必要となるでしょう。
しかし効率化の面では非常に効果を発揮します。
EC物流の最適化方法は業務を見直すことから始める
EC物流は近年ますます成長を遂げているEC市場において必須です。特にこれからECに参入する方や本腰を入れる方にとっては、非常に大切となるでしょう。
EC物流は通常の物流と違い、BtoCが中心となっています。そのため物流もtoCに対応した施策が求められます。商品の保管はもちろん、スピーディーな発送まで一貫して行われなければ顧客は離れていってしまいます。
そんな中で物流を最適化するには、経営陣だけで決めるのではなく現場の意見を吸い上げた上で改善を行うことが居一番の近道です。思い切って3PLを導入しアウトソーシングするのも良いでしょう。
自社にあったEC物流の最適化方法を見つけてくださいね。