ラクスルのビジネスモデルの特徴とは?主要事業や評価される理由も紹介

ラクスル,ビジネスモデル

ラクスルのビジネスモデルは評価されることが多いことを知っていますか?

この記事では「ラクスルのビジネスモデル」について解説していきます。結論、ラクスルのビジネスモデルは3方よしの状態を実現しているのが評価される理由です。

ラクスルのビジネスモデルを検討する際、わかりづらい「ビジネスモデルの特徴」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。

その他にも「主要事業」の説明や、「評価される理由」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んでラクスルのビジネスモデルを知っていただければ幸いです。

目次

ラクスルとは?

ラクスルとは?

ラクスルとは、オリジナリティ溢れるチラシの作成や名刺印刷などのサービスを通して顧客企業の売り上げ向上に貢献しているサービス会社です。

企業名ラクスル株式会社
本社所在地〒141-0021東京都品川区上大崎2-24-9 アイケイビル1F
設立者松本恭攝
設立年2009年
売り上げ165億9800万円
資本金26億円7008万2000円
従業員327人

ラクスルの主要事業

ラクスルの主要事業

ラクスルの主要事業は、「ラクスル」「ハコベル」「ノバセル」の3つです。

ラクスル

日本国内で提携している印刷会社が保有している印刷機の非稼働時間を利用して印刷することで、高品質な印刷物をリーズナブルな価格で提供できる仕組みを開発しています。集客活動を支援するための新聞折込やポスティングなど多岐に渡る広告サービスを提供している印刷・広告のシェアリングプラットフォームです。

ハコベル

日本国内で提携している運送会社が保有している物流資源の非稼働時間を利用して運送することで、高品質な運送をリーズナブルな価格で提供できる仕組みを開発しています。
サービスを利用したユーザーは、ドライバー評価ができる仕組みとなっているので、常にサービス品質向上にもつながる物流のシェアリングプラットフォームです。

ノバセル

テレビCMなどの広告動画を「企画」から「制作」「放映」「分析」まで一貫して請け負っています。企画から分析までを一貫して行うことで広告の効果を可視化できるほか、改善までのサイクルを最短化させる効果が期待でき、企業の事業成長を支援する広告のプラットフォームです。

ラクスルのビジネスモデルの特徴

ラクスルのビジネスモデルの特徴

ラクスルがメイン事業として行なっているネット印刷業界は、競合相手が余るほどいるのですが、売り上げ上位に食い込む企業とは大きく異なる点があるのです。
具体的に、ラクスルのビジネスモデルの特徴は4つ挙げられるため、詳しく解説していきます。

余剰時間の有効利用

ラクスルは、主要事業の「ラクスル」では稼働時間外の印刷機器を使った印刷、「ハコベル」では稼働時間外の物流資源を使った運搬でサービス提供を行なっています。

通常であれば、印刷のための工場や運搬のための物流資源を自ら用意するところからスタートしますが、「使っていない時に借りる」ことで初期費用がかかりません。
さらに、質の高い工場や資源を借りることで、より高品質なサービスを手頃な価格で提供できるので、顧客満足度にもつながることが期待できます

オフライン主流の業界のオンライン化

オフライン主流の業界のオンライン化

ラクスルでは、名刺やチラシをオンライン上で無料で簡単に作ることができます。従来のやり方では、制作会社に希望を伝えて作ってもらい、やりとりはメール以外にも対面で行われる場合もあり、時間や労力が非常にかかるのがデメリットでした。

その点、ラクスルでは、

  1. テンプレートを選択
  2. 編集
  3. 印刷商品を購入
  4. データの入稿
  5. 印刷物の発送

という手順を全てオンラインのみで完結させることができます。

ただ、全てをオンラインにすると、思っていた仕上がりにならないのでは?という心配も出てくるかもしれません。その点、ラクスルでは以下のような特徴があるので、イメージギャップを減らす工夫がなされています。

  • 業種別に無料テンプレートは4,000点以上にのぼる
  • 写真やイラストなどの素材は約2,000万点以上が無料で選択できる
  • モリサワフォントは無料で49種類から選択できる
  • 編集機能が充実している
  • デザイン管理が簡単

テンプレートなども積極的に利用することで、よりハイクオリティなチラシが作れたり、理想に近い名刺作りを作ることができます。

仲介業務のみに特化

ラクスル株式会社では、仲介業務を主要ビジネスとしているのが特徴として挙げられます。印刷業界の印刷工場の稼働率は、5〜6割程度しかなかったことに目をつけたラクスルは、印刷機器の非稼働時間を使って印刷業務を請け負う仲介役になるビジネスを展開。

非効率的であったこと、価格設定が曖昧だったこと、印刷会社と制作会社のマッチングが不適切だったことなどを問題視し、仲介役になることで、より効率的で、安価に、適した企業同士をマッチさせることに成功します。

実際に、発注者からの依頼にて、印刷の種類や納期、規模に合わせた印刷会社を割り振ることで価格を抑えて稼働率を上げることができたため、印刷業界と制作会社それぞれが得をする仕組みを生み出しました。

印刷以外にデザインなどを一貫して担当

印刷以外にデザインなどを一貫して担当

ラクスルでは、企画から運搬までの業務を一貫して自社で行うことでトラブルやミスマッチを最小限に抑えることができています。企画と制作と運搬を全てバラバラの業者に頼んだ場合、「時間」「労力」「お金」の全てが余分に発生するのです。

会社ごとに連絡を取り合う必要があったり、それぞれに支払いが生じるためです。一方で、全てを一貫して請け負ってくれるラクスルに依頼した場合は、初めに提示された金額と最小限のやり取りで全てをやってくれるので、安心して任せることができます

プランによっては、広告の分析まで行なってリポートを提出してくれるので広告効果を見て改善の余地などが分かったりするのでさらに便利です。

ラクスルのビジネスモデルが成功した要因とは?

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斬新なビジネスモデルを確立したラクスルですが、実際に成功に至った要因とはなんだったのでしょうか。

業界に対しての理解をしっかりしていた

まず、第一にラクスルは、業界分析を徹底的に行なっていました。印刷業界全体の稼働率が5〜6割であることに着眼点を置き、この稼働率をあげるための支援をすることで印刷業界の活性化につながるのではないかと考えます。

さらに、印刷工場と制作会社のマッチングがうまくいっていない点を見つけ、制作会社の求める「量」「納期」「印刷の種類」などに合わせて工場をマッチングさせていく仲介役になることでクライアント満足度があげることに成功させました。

印刷工場の稼働率を上げることで、需要が増えて印刷料金を安価に抑えることができるので、さらに印刷需要を掘り起こすことができ、結果的に良いサイクルを生み出したのです。

自社が関わることでの強みを意識していた

自社が関わることでの強みを意識していた

ラクスルは、業界間、企業間の仲介役になることで業界全体の需要が高まることを予測しました。そして実際に、印刷業界の稼働率を高めることに成功しただけではなく、今までチグハグだった印刷工場と制作会社のマッチング率も高めています。

その結果として、効率よく安価に印刷を行うことができるので、受注を希望する制作会社も増え、工場の稼働率がさらに上がることになりました。
ラクスルは、稼働率の低い印刷工場に自社が関わり、仲介役になることがラクスルにとっての利益になることはもちろん、双方(印刷会社と制作会社)の利益になることに目をつけたことがビジネスモデルの成功と言えるでしょう。

人を動かす行動量があった

ラクスルは2020年時点で、ベトナムやインドなどのアジア圏にビジネスを広げていて、テック組織としても大きく拡大しています。ラクスルの従業員たちは、地頭がよくロジカルシンキングに強い上、優しく話しやすいという特徴を持った人材が集まっているのが特徴です。

さらにラクスルには、メンターシップ制度という福利厚生があり、技術的にもキャリア的にも人として学びのある環境を用意しているため、一人一人の意識を高く保つことができています。ラクスルの事業内容自体が、一人で完結するものではなく仲介という「何かと何かをつなぐ」ものであることから、メンターシップ制度のようなペアプログラムは、事業において人同士を繋げるのにも効果的です。

企業全体を通して、人とのつながりを大切にして、互いに刺激をしあい、成長できる環境づくりが、企業外の人たちの心を動かすことに直結していると言えるでしょう。

ラクスルとプリントパックのビジネスモデルの違いとは?

ラクスルとプリントパックのビジネスモデルの違いとは?

印刷サービスを行なっている「ラクスル」と「プリントパック」は、どちらもチラシや名刺を作っている会社として知られていますが、ビジネスモデルに違いはあるのでしょうか。これからチラシや名刺の作成を検討している人は、どちらがいいのか気になるところですよね。

具体的に2社で異なるところを2点あげて解説していきます。

自社工場の有無

まず第一に、2社の異なる点としては、ラクスルは印刷のための自社工場を持っていないのに対して、プリントパックは本社の京都を拠点にして複数の箇所に自社工場を持っています。
つまり、厳密にいうとラクスルは「印刷通信会社」であり、プリントパックは「印刷業者」です。

自社工場を持つプリントパックは、トラブルなど含め24時間365日柔軟に対応できるのがメリットです。

一方、ラクスルは多くの工場と提携をしているので、クライアントの希望を幅広く叶えることができるのがメリットです。

印刷事業以外の事業構成

さらに、2点目としてラクスルは、印刷事業の他に、制作事業や運搬事業などさまざまな仲介事業を展開しています。一方、プリントパックは印刷事業に特化した会社です。

ラクスルのビジネスモデルには成長可能性がある?

ラクスルのビジネスモデルには成長可能性がある?

起業において大切なことは、「ビジネスの隙間を埋めること」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。その点、ラクスルのビジネスモデルは業界調査をしっかりと行なった上で、今まで見落とされがちであった問題を解決するビジネスを展開しています。

印刷会社の仲介事業のビジネスモデルは、運搬会社にも適用できて、大きな成果を出しているのが現状です。このように業種を変えても、ラクスルのビジネスモデルは効果があることが判明しているので、十分に成長の可能性は期待できそうです。

ラクスルのビジネスモデルが評価されている理由

ラクスルのビジネスモデルが評価されている理由

ラクスルの画期的なビジネスモデルが評価されている理由は、主に3つあります。

事業を1つに絞らず横展開している

まず第一に、ラクスルは「仲介」というビジネスモデルで複数の事業を展開しています。印刷業界だけでも競争相手は非常に多く、仲介役として業界進出しているものの、売上トップには食い込めずにいます。

ラクスルの会社自体が新規であることも考えられますが、自社工場で印刷業務を長年行っている他の競合社との対立は厳しいものです。

ただし、最近はデジタル化に伴い印刷業界自体の需要は減りつつあります。つまり、印刷業界だけで勝負をしていても業界全体の需要が下がった時には売り上げを伸ばしたり維持することは難しくなります。

その点、ラクスルは自社工場を持つことなく、複数の事業を展開してるため、ビジネスモデルさえ機能すれば、業界の需要や売り上げ状況に合わせて、柔軟に事業の縮小を管理できるのがメリットです。

工場の稼働率を上げることで3方よしの状態を実現している

工場の稼働率を上げることで3方よしの状態を実現している

ラクスルは、印刷業界の市場調査をしたところ、工場の全体的な稼働率が5〜6割であり、4〜5割が無駄になっていることを問題視しています。そして、その4〜5割の稼働率を上げるためにビジネス展開をして利益を出すことができるのではないかと考えたのがラクスルでした。

ラクスルが実際に行ったビジネスモデルは、制作会社と印刷工場の仲介で、印刷会社の求める「納品スピード」「印刷の種類」「印刷物の量」などに合わせて適切な印刷工場を提供します。

そうすることによって印刷工場は、今までの非稼働時間にも印刷業務ができるようになり売り上げが伸びるのです。さらに、印刷会社は、希望に最適な印刷工場と提携を組めるため、「価格」「期間」「クオリティ」全てにおいての満足度が高くなります。

双方が満足することにより、ラクスルには仲介料が入りつつも、さらに仲介会社としての仕事が増えるので、3方が得をするビジネスモデルとなっているのがポイントです。

DXの促進をおこなっている

デジタル化が進む中で、日本企業の多くはなかなかデジタル化に移行できずに、非効率的なことを行う場合が多く見られます。しかし、ラクスルはコロナウイルスの感染拡大を受けて物流業界全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きを見せたタイミングでビジネス展開を行いました。

具体的には、物流DXを取り入れている起業に向けて「輸配送管理システム」を提供することで、業務効率やコスト削減のデジタル管理を実現。物流業界がDXを取り入れることで期待している効果として88%が「業務の可視化」でした。

ラクスルは、物流会社が抱える問題を可視化して整理をすることができるような診断のビジネスモデルも用意していて多くの企業から注目されています。

ラクスルのビジネスモデルについて理解しよう

ラクスルのビジネスモデルについて理解しよう

この記事の結論をまとめると、

  • ラクスルの印刷通信業務以外にも運搬や制作など複数の事業を行っている
  • ラクスルのビジネスモデルは、斬新で印刷業界にも良い影響を与えている
  • ラクスルのビジネスモデルは成長の可能性があり、拡大が期待できる

ということになりました。

ラクスルのビジネスモデルは、どの業界にも適用できるわけではありません。事前にしっかりとした業界調査を行った上で、課題や問題があった場合に、適用できるかを判断することが大切です。

これから、ラクスルがどのような業界にビジネスモデルを適用させていくのか注目したいところです。

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