アパレル業界のなかで、オンライン接客が広まっているのをご存じでしょうか?
今回は「アパレル業界のオンライン接客」について解説します。
結論、アパレル業界は、今後オンライン接客が主流になると考えらえるでしょう。
実際にオンライン接客を導入しているアパレル業界についても紹介します。
その他に「オンライン接客を導入するメリット」や「オンライン接客方法」についても解説します。
ぜひ、今回の記事を参考に、オンライン接客の導入を検討してみましょう。
また「D2Cブランドの立ち上げ方」については、こちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
オンライン接客とは

オンライン接客とは、インターネット上でリアルタイムにコミュニケーションを図る非接触型の接客サービスです。
オンライン接客を導入すると、従来の店舗や窓口で行っていた接客・販売サービスが、パソコンやスマートフォンを通じて提供できるようになります。
自宅にいても店員の接客を受けながら購入できるとして需要が高まり、アパレル業界でも積極的に導入されている傾向があります。
アパレルのオンライン接客方法

アパレルにおけるオンライン接客方法は、次のような種類があります。
- チャット
- ビデオ通話
- SNS
特徴や利用者の傾向がそれぞれ異なるため、自社にとって効果的な接客方法を検討しましょう。
各方法の特徴は、以下で詳しく解説していきます。
チャット
チャット機能を用いたオンライン接客は、スタッフが直接対応する「有人対応」と、チャットボットによる「無人対応」にわけられます。
チャットボットとは、ユーザーからの質問に対して、あらかじめ設定されたシナリオの中から近い回答を返信する自動会話プログラムです。
チャットボットは24時間365日稼働できるので、問い合わせコストを削減した上でいつでもユーザーの疑問に答えられるようになります。
ただし複雑な質問や個別の問い合わせには対応ができないため、有人対応と組み合わせて活用するのがおすすめです。
ビデオ通話

ビデオ通話を用いたオンライン接客も、有効です。
実店舗の販売員や営業担当者が、ビデオ通話を通じて直接ユーザーとコミュニケーションをとりながら接客します。
よく使われているビデオ通話ツールはZoomとLINEで、どちらも使い慣れているユーザーが多く、基本無料で利用できるのが利点です。
画面越しに商品を見せながら紹介できるため、プロからより詳しい説明を聞きたいと考えているユーザーに需要があります。
SNS
SNSのオンライン接客はFacebook・Instagram・LINEなどのSNSサービスを活用した方法です。
たとえば、Instagramのライブ配信機能で自社の商品を紹介し、魅力を伝える「ライブコマース」などがSNSによる接客に該当します。
ライブコマースのイメージとしてはテレビショッピングに近く、不特定多数の人に同時にアプローチできるのが特徴です。
SNSの配信は若年層を中心に幅広いユーザーが注目しており、導入しているショップも増えてきています。
アパレルでオンライン接客を導入するメリット

アパレルでオンライン接客を導入するメリットは、次のとおりです。
- 客単価のアップ
- コスト・リスク削減
- リピート率向上
- 業務効率化
- 非対面ニーズへの対応
オンライン接客はアパレル事業と非常に相性が良いので、導入するメリットは大きいでしょう。
各メリットについて、以下で詳しく解説していきます。
客単価のアップ
オンライン接客を導入すると、ECサイトでの客単価アップにつながります。
ECサイトで購入する際、実店舗と違って手に取って見比べられないので、一度にたくさん買うのは抵抗があるというユーザーは多いです。
たとえば「実物を見てみないと判断できない」「何と合わせればいいかわからない」といった障壁があると、なかなか購入に踏み切れないでしょう。
しかし、オンライン接客でニーズに合わせた詳しい説明やコーディネートの提案ができれば、購入率アップにつなげられます。
オンライン接客で実店舗に訪れたような体験を提供できると、結果的に客単価の向上が期待できるのです。
コスト・リスク軽減

コストとリスクの削減につながるのも、オンライン接客のメリットです。
新規出店や開業には一定の投資が必要になり、同時にリスクも伴います。
しかし、オンライン接客を活用したバーチャル店舗であれば、小規模な事務所と倉庫・簡易スタジオを用意するだけでオープン可能です。
ECサイトをメインに運営している場合も、バーチャル店舗ならオープンしやすくなります。
オンライン接客を最大限に活用して、実店舗運営にかかるコストとリスクを抑えていきましょう。
リピート率向上
オンライン接客で満足度の高いサービスを提供すると、ユーザーがファン化してリピート率向上につながります。
オンライン接客は実店舗の接客に比べて1対1で対応するため、ユーザーが特別感を得やすいです。
ユーザーの課題に寄り添い、適切な提案を行ってユーザーとの信頼関係を構築し、顧客満足度を向上させましょう。
「あの店員さんにまた相談したい」「あのお店で買いたい」と感じてもらえると、リピート率は格段に上がります。
業務効率化

オンライン接客の導入は、業務効率化にもつながります。
オンライン接客をはじめるといっても、新しい人材を採用する必要はありません。
従来の店舗スタッフを活用して全国の顧客にサービスを提供できるので、スタッフの対応効率を上げられるメリットがあります。
実店舗接客の空き時間にオンライン接客をしたり、客足が少ない店舗のスタッフをオンライン接客にあてたりできれば、人材配置の効率化を図れるのです。
接客スタッフの在宅勤務も可能になり、多様化する働き方に対応できるのもメリットの一つといえるでしょう。
非対面ニーズへの対応
非対面ニーズへの対応も、オンライン接客のメリットです。
オンライン接客を導入すると直接対面して人と接する機会が減るため、感染症対策につながります。
実店舗での感染リスクを回避したいユーザーのために、安心して買い物できる環境づくりが必要です。
インターネット上で気軽に買い物できるECサイトの需要は、年々高まっています。
オンライン接客を活用して、非対面ニーズに対応していきましょう。
アパレルオンライン接客の成功事例

オンライン接客を導入したアパレル事業の、成功事例を紹介します。
- NITED ARROWS
- 23区
- ミズノ
- ベイクルーズ
- 三越伊勢丹
どのようなツールを活用しているのか、以下で実例を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
UNITED ARROWS
洗練されたカジュアルアイテムが揃うセレクトショップとして人気なユナイテッドアローズは、2020年8月28日から新たなライブコマース「STYLING GUIDE」をスタートしています。
以前はInstagramでライブ配信を行っていましたが、ライブ閲覧からオンラインストアに移行するステップが多い点や、利用者がインスタユーザーに限られる点などの課題がありました。
STYLING GUIDEはその課題を解消しており、ライブ配信と同じページに紹介中の全商品を掲載し、クリック一つでオンラインストアに移行できる仕組みになっています。
また、ライブ配信は公式ホームページから誰でも閲覧できるため、専用アプリの登録やダウンロードなどのわずらわしさもありません。
動画の配信数を増やし、撮影場所や登場スタッフのバリエーションを広げていくことで、新たな接客サービスの認知向上を目指しています。
23区

質の高いカジュアルブランドとして、幅広い世代の女性に支持されている23区では、2020年7月から「オンライン接客予約サービス」をスタートしました。
予約した時間にスタッフとテレビ電話がつながるサービスで、商品の着心地や素材・サイズ感・コーディネートなど幅広い相談に対応しています。
23区のフラッグシップショップである銀座店で買い物する体験を、自宅にいながらできるのが人気の理由です。
銀座店にはフルラインナップでアイテムが揃っているので、なかなか実店舗に出向けない人も23区ブランドを気軽に利用できる仕組みになっています。
ミズノ
スポーツ用品を取り扱うミズノでも、商品知識豊富な直営スタッフによるオンライン接客サービスを提供しています。
相談に対応しているアイテムは、野球・ソフトボール用品やゴルフ用品、各種シューズです。
商品選びで悩んでいる顧客に向けて、ビデオ通話で実際の商品を見せながら一人ひとりの目的に合った商品を提案してくれます。
オンライン接客で希望する商品が見つかった場合、ミズノ公式オンラインストアの商品ページが案内されるので、すぐに購入可能です。
オンラインストアに在庫がなく接客店舗に在庫がある場合は、店舗から直接商品を発送するサービスも行っています。
ベイクルーズ
JOURNAL STANDARD・IENA・EDIFICEなど多くの人気ブランドを展開するベイクルーズは、さまざまなデジタル技術を駆使したサービスを提供しています。
ベイクルーズの取り組み事例は、以下のとおりです。
- パーソナルスタイリングサービス
- オンライン接客サービス
- チャットファッションアドバイザー
- 1分で簡単オンライン試着
- ライブコマース
パーソナルスタイリングは2020年5月27日~6月2日までの期間限定で行ったイベントでしたが、人気ブランドのバイヤーやインフルエンサーにも直接相談できるとして話題になりました。
三越伊勢丹

三越伊勢丹は、2020年11月から独自開発の「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」をリリースしました。
どこにいても三越伊勢丹の販売員と1対1でつながり、チャットやビデオ通話での接客・購入ができるアプリです。
本来は店頭でしか購入できないアイテムも、オンライン接客を受けながらアプリ内ですぐ購入できます。
一人ひとりに合った丁寧な提案はもちろん、誕生日やクリスマスなど大切な人へのプレゼント選びにも柔軟に対応してくれるのが魅力。
リモートショッピングアプリのほかにも、ライブコマースによるおすすめ商品の提案や仮想新宿で買い物できるVRアプリなど、独自のデジタル接客を展開しています。
アパレルのオンライン接客で重要なポイント

アパレルのオンライン接客で重要なポイントは、次のとおりです。
- 顧客との距離感を意識
- アクシデントを想定しておく
- 適している技術を活用
オンライン接客の効果を最大限に引き出すために、上記3つのポイントは必ず押さえておきましょう。
それぞれの重視するべきポイントについて、以下で詳しく解説していきます。
顧客との距離感を意識
オンライン接客において、顧客との距離感は非常に大切です。
実際に対面できないオンライン接客に対して、不安を感じている利用者も多いでしょう。
どのような悩みがあるのかをくみ取り、気持ちに寄り添った適切な対応を意識してください。
店舗で買い物するのと同じような体験を提供できるように心がけ、意識的に丁寧に接すると顧客との距離を縮められます。
アクシデントを想定しておく

オンライン接客で起こりうるアクシデントを、事前に想定しておくのも重要です。
インターネットを通じてやり取りを行う仕組み上、回線に不具合が生じると接続できなくなる可能性があります。
また、チャットボットがうまく機能せず、利用者の悩みを解決に導けないケースも考えられるでしょう。
そのような事態が発生した場合であってもすぐ対処できるよう、想定しうるアクシデントの対応策を準備しておく必要があります。
適している技術を活用
サイトに訪問したユーザーニーズを満たすために、適切な技術を活用していきましょう。
たとえば、再訪したユーザーに対して専用メッセージの表示機能を使用すると、再訪者の購入率向上につながります。
顧客セグメントで自社サイトの利用者が求めている傾向を理解し、適切なオンライン接客ツールを選ぶのが重要です。
アパレルのオンライン接客ツールの選び方

オンライン接客ツールを選ぶ際に、チェックするべきポイントは以下のとおりです。
- 必要な機能がそろっている
- ユーザーにとって使いやすく設計されている
- 接客データの保存ができる
- 解析ツールが設定できる
- 導入事例・実績が公開されている
もっとも重視すべきなのは、自社にとって必要な機能がそろっているかどうかと、ユーザーにとって簡単でわかりやすい設計がされているかどうかです。
自社でどのようにオンライン接客ツールを使いたいかを決めた上で、予約機能やチャット機能が扱いやすいツールを選ぶようにしましょう。
また、オンライン接客データを可視化して分析するために、接客データの保存や解析ツールの設置ができるかどうかなども押さえておきたいポイントです。
導入事例・実績が公開されていると一つの指標として参考にできるので、事前にチェックしておくのをおすすめします。
オンライン接客導入でアパレル業界の悩みを解消

大手アパレルブランドのほとんどは、オンライン接客を導入しています。
オンライン接客は、コスト削減や業務効率化など、様々なメリットがあるからです。
今後オンライン接客は主流になっていくと予想されるので、ぜひオンライン接客を導入してみましょう。
今回の記事を参考に、大手アパレルブランドのやり方を、真似してみてください。