パッキングとは?パッキングリストに記載すべきことを詳しく紹介

パッキング

商品の梱包作業を意味する「パッキング」は、物流業界で必要不可欠な作業であり、適切に作業を進めるかどうかで、クライアントや顧客との関係性に影響します。

この記事では、物流におけるパッキングについて解説したうえで、リストに記載すべきこと、ミスの原因と課題、種類、デメリットについて徹底解説します。

自社で製品の販売から配送まで行う企業がある一方で、外注に任せる企業もあり、どのようにすることが最適化につながるのかを理解するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

物流におけるパッキングの意味とは?

とは?

物流における「パッキング」を簡単に説明するのであれば、輸送を目的として、荷造りや梱包の作業を行うことを意味しています。

通販などで売却した商品が輸送中にトラブルで破損した場合、代品の再発送や返金対応などが必要になるため、緩衝材を使ったり、段ボールで保護したりするなどの工夫が必要です。

つまり、物流業界においてパッキング作業は、商品をきれいな状態で仕入れ先や一般消費者に届けるために必要不可欠な過程であり、重要な役割を担っています。

パッキングリストに記載すること

パッキングリストに記載すること

梱包してある輸送入荷物の明細書を意味する「パッキングリスト」を記載する際は、以下の項目が正しく明記されているか確認してください。

  • 商品名(品名)
  • 個数
  • 重量
  • 荷姿
  • 保険金額 など

数量が少ない場合は、インボイスで兼用したり、パッキングリストそのものを作成しないケースも見られます。

ただし、原則通関手続きで必要な書類のため、スムーズに輸送ができるようにするためにも書き漏れがないように気をつけてください。

ピッキングとは?

?

ピッキングとは、保管場所にある商品や一時的に保管された商品を要求されている出荷場所へ集める作業のことを意味していて、以下の工程で進められます。

  1. 品番と数量を確認して集める
  2. 仕分け
  3. 梱包(パッキング)
  4. 送り状の添付
  5. 納品先別に仕分け
  6. 搬送車に積み込む

ピッキング作業は出荷指示に記されている通りに、商品と数量を集めることが求められていて、2種類のピッキング方法から最適なものを採用します。

特徴メリットデメリット
摘み取り方式(ピッキング)出荷数は少ないが、発送先が多く、幅広い種類の商品を出荷する場合に使われている商品を集めてピッキング後、すぐに出荷できるため、スピーディーで小回りが効く作業員が倉庫内を移動して収集するため、移動距離と移動時間が発生する
種まき方式(アソート)発送先が限られていて、一度に大量の商品を出荷する場合に使われている商品をまとめて撮りに行くため、作業員の移動力と移動時間を短縮できる一度に大量の商品を運ぶためスペースの確保が必要である

発送先、出荷数、商品の種類に合わせて最適なピッキング方法を選択しましょう。

パッキング・ピッキングのミスの原因とは?

パッキング・ピッキングのミスの原因とは?

パッキング・ピッキングのミスの原因は、以下のとおりです。

  • ヒューマンエラーが発生しやすい
  • 仕組み化ができていない
  • 機械の導入が難しい

それぞれの原因について解説します。

ヒューマンエラーが発生しやすい

パッキング・ピッキングのミスの原因として、ヒューマンエラーが発生しやすい点が挙げられます。

手慣れた作業員が1人で丁寧にパッキングやピッキングの作業を行う分には、滅多にヒューマンエラーが発生することはありませんが、大規模になるとそうはいきません。

出荷数が多ければ、必然的に技量や知識が不足している作業員が動員する可能性が高まるため、ミスが発生しやすくなるため対策が必要です。

仕組み化ができていない

パッキング・ピッキングのミスの原因として、仕組み化できていない点が挙げられます。

パッキングであれば、どのサイズの梱包箱を使用するか、隙間がある場合はどうするか、ピッキングの場合はリストの作成など仕組み化できていないと作業時間が長引くでしょう。

パッキングのクオリティにばらつきがあれば、クレームの対象にもなりうるため、細かいマニュアルを作ったり、仕組み化したりして共有できるようにする準備が必要です。

機械の導入が難しい

パッキング・ピッキングのミスの原因として、機械の導入が難しい点が挙げられます。

機械化できれば、一つのシステムを作るだけで同じようにパッキングとピッキング業務を担ってもらえますが、サイズや種類が異なるため、簡単に機械化はできません。

また、規模が小さければ機械導入費用が高くつくため、ヒューマンエラーの原因をなくせずにミスが行ってしまうのです。

パッキング・ピッキングの課題とは?

パッキング・ピッキングの課題とは?

パッキング・ピッキングの課題は、以下のとおりです。

  • 商材が増えることで業務負担が増える
  • 機械化の初期費用が高い
  • 定型業務化できていない現場が多い

それぞれの課題について解説します。

商材が増えることで業務負担が増える

基本的に商材の種類が増えるほど、パッキングやピッキングの方法が変わってくるため、業務負担が増えてしまう点が課題として挙げられます。

店舗への搬送であれば、ある程度決まったパッキングやピッキングの作業になりますが、通販などで個人を相手にしているとその都度注文は異なります。

注文された内容と量とサイズに合わせて最適な緩衝材を入れて、商材を全て保護できるダンボールや袋を選んで入れる作業は、作業員の負担になっているのが現状です。

機械化の初期費用が高い

大規模な搬送を行う場合、機械の導入に伴って大きな初期費用が発生する点が課題として挙げられます。

自動化が実現すれば、ピッキングとパッキングのミスの軽減、人手不足の解消、人件費の削減など多くのメリットがあるように見えますが、費用対効果が十分とは限りません。

初期費用以外には、随時メンテナンス費用が発生するほか、万が一機械が故障した際はピッキングとパッキングの作業が完全に停止するため、リスク対策が求められます。

定型業務化できていない現場が多い

マニュアルの作成や、十分な知識を持った作業員の教育がままならずに定型業務化ができていない現場が多い点が課題として挙げられます。

複数人で作業するのであれば、工程別に人員を分散させることで、一貫して一人でピッキングからパッキングを行うよりも効率化が図れますが、コミュニケーションが必要です。

どこかが詰まってしまうと返って作業効率が落ちる懸念もあるため、定型業務化=マニュアル完備をして、土台からしっかりと環境を整える必要があります。

パッキング・ピッキングの種類とは?

パッキング・ピッキングの種類とは?

パッキング・ピッキングの種類は、以下のとおりです。

  • シングルピッキング
  • トータルピッキング

それぞれの種類について解説します。

シングルピッキング

シングルピッキングとは、1件ずつピッキングする方法で、受注を受けたタイミングで保管場所から商品を取り出して、検品や梱包作業に移ります。

メリットデメリット
シンプルな作業内容のため、作業員の教育がほとんど必要ない精度を高めやすい商品の取り違えなどヒューマンエラーが起こりにくい受注内容によっては作業員の移動距離と移動時間が長くなる1回ずつ保管場所を移動するためやや非効率

出荷件数が少なく、商品や商材の種類が多い場合の作業方法として適しているため、EC、通販などのBtoC系の物流センターで導入されている傾向にあります。

単純作業ではあるものの、作業員の体力が必要となるため、ミスを避けるためにも日頃から人材管理を徹底することが求められます。

トータルピッキング

トータルピッキングとは、複数の出荷オーダーをまとめて取り出して、仮置き場や仕分け場に一時保管をして、受注された商品を仕分けします。

メリットデメリット
複数のオーダーをまとめて取りに行くため、作業員の移動距離と移動時間を最小限に抑えられる複数の出荷オーダーの総量をまとめてピッキングするため、作業終了後に在庫が0になれば数量検品が完了する総量ピッキングの後に受注を受けてから再度ピッキングが必要である複数のオーダーを受けてから作業を始めないと効率が上がらない

出荷件数が多く、商品や商材の種類が少ない場合の作業方法として適しているため、より大規模出荷なBtoB系の物流センターで導入されている傾向にあります。

少ない作業員で業務を遂行できるものの、ピッキング作業が追加で発生したり、仕分けスペースの確保が必要なため、費用対効果を割り出して効率化が実現しているか確認する必要があります。

パッキング・ピッキングを外注するメリットとは?

パッキング・ピッキングを外注するメリットとは?

パッキング・ピッキングを外注するメリットは、以下のとおりです。

  • 業務が効率化される
  • コスト削減できる
  • ヒューマンエラーの減少

それぞれのメリットについて解説します。

業務が効率化される

パッキング・ピッキングを外注するメリットとして、業務が効率化される点が挙げられます。

これから自社の商品の売り上げを伸ばしたいのであれば、広告や新商品開発に時間を割けるようにするために、単純作業であるパッキング・ピッキングの外注を検討しましょう。

特別なこだわりがあるのであれば、事前に相談することで、デザインや仕様を要望に合わせてもらえるケースもあります。

コスト削減できる

資金が潤沢にある大手企業であれば、企画から生産、梱包、発送まで一貫して行えるかもしれませんが、ベンチャーや中小企業は、人材確保から機械費用の捻出が難しいです。

外注であれば、いくつかの企業を比較して、実績と予算の兼ね合いで、「このくらいまでなら出せる」という企業選びをすれば固定コストでパッキングとピッキングができます。

自社で行おうとすると、コストも変動しやすく、トラブルが起きた際にさらに追加でコストが発生するリスクが考えられます。

ヒューマンエラーの減少

パッキング・ピッキングのヒューマンエラーのリスクを最小限に抑えたいのであれば、自動化の機械を導入している企業に外注すると安心です。

作業員によるパッキング・ピッキングは、疲労や知識不足などを理由にヒューマンエラーの可能性があるため、返品や返金の対応をなくすためには機械頼りがおすすめです。

外注で頼めば、ハイクオリティの自動化システムを導入している機械でパッキング・ピッキングを利用できるため、前向きに検討してみると良いでしょう。

パッキング・ピッキングを外注するデメリットとは?

パッキング・ピッキングを外注するデメリットとは?

パッキング・ピッキングを外注するデメリットは、以下のとおりです。

  • 外注先との意思疎通が難しい
  • 自社にノウハウを蓄積できない
  • トラブルの際の責任が曖昧になりやすい

それぞれのデメリットについて解説します。

外注先との意思疎通が難しい

パッキング・ピッキングを外注するデメリットとして、外注先と円滑にやりとりができていないとトラブルの原因になる可能性があります。

進行に問題があれば連絡を入れてもらう、進捗状況をリアルタイムで報告など、不安要素を取り除くためには、意思疎通がしっかりと行える外注先を選ぶ必要があります。

完全に任せっきりで契約してから音沙汰がない、返答が遅いなどの企業と契約してしまうことがないよう注意してください。

自社にノウハウを蓄積できない

パッキング・ピッキングを外注に任せてしまうと、いつまでも自社でノウハウが蓄積されず、いつまでも外部にお金を支払い続けることになります。

外注にお金を出すことが悪いわけではありませんが、規模が大きくなるほど外注費用は高くなるため、一定の規模以上になると自社で作業した方が安く抑えられるケースもあります。

規模が小さいうちから多少の労力と時間がかかったとしても、将来のためにパッキング・ピッキングのノウハウを蓄積するという選択を取るのも良いでしょう。

トラブルの際の責任が曖昧になりやすい

パッキング・ピッキングを外注に任せて、その過程でトラブルがあった場合、責任転嫁などで自社の負担が大きくなるケースが懸念されます。

クライアントや一般消費者からクレームが入った際、ピッキングやパッキングに問題があったのか、発送中に問題があったのか、明確にすることが難しいです。

自社で行えば、再発防止に努めるまでですが、外注先では再発防止の対策が取られない可能性もあるため、契約時にトラブルの際の対処法を明確にしておく必要があります。

パッキングについて理解しよう

この記事の結論をまとめると、

  • 物流におけるパッキングとは、輸送を目的として荷造りや梱包作業を行うことを意味する
  • パッキングリストには、「商品名」「個数」「重量」「荷姿」「保険金額」など通関手続きで必要な記載が求められている
  • ピッキングとは商品を保管場所から出荷場所に移動させることを意味する
  • パッキング・ピッキングのミスとして「ヒューマンエラー」「仕組み化」「機械導入」が懸念されている
  • パッキング・ピッキングの課題として、「業務負担」「機械の初期費用」「定型業務化」があるため費用対効果の確認が必要である
  • パッキング・ピッキングには、受注を受けてから作業を始める「シングルピッキング」と、複数の受注をまとめて作業する「トータルピッキング」の2種類がある
  • パッキング・ピッキングの外注メリットとして「効率化」「コスト削減」「ヒューマンエラーの減少」が挙げられる
  • パッキング・ピッキングの外注デメリットとして「意思疎通の難しさ」「ノウハウの蓄積が不可能」「責任問題」がある

ということが分かりました。

クライアントや一般消費者に、自社の商品や商材をきれいな状態で届けるために必要不可欠なパッキングとピッキング作業は、自社で行ったり外注したりできます。

自社で行う場合、初期費用や人件費が多く発生するものの、ノウハウの蓄積ができるため、将来的にはコストを節約できるでしょう。

一方、外注の場合は自社の商品や商材の広告や新開発に時間と人材を確保できるため、作業効率が高まる点が魅力です。自社の規模や資金、目指す将来の形に合わせて、最適な方法でパッキング・ピッキング作業を進めましょう。

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