サプライチェーンマネジメント（SCM）とは？成功事例と課題を紹介

2022 12/21

サプライチェーンマネジメント（SCM）は企業の生産サイクルを管理して効率化するための手法です。

サプライチェーンを適切に管理することで、経営課題を解決できます。

サプライチェーンは時代の変化や技術革新によって様々な影響を受けながら発展してきました。

この記事ではサプライチェーンマネジメントの成功事例を見ながらメリットや課題点を紹介していきます。

適切なサプライチェーンマネジメントを実現して、ビジネスを成功に導きましょう。

経営戦略に欠かせないサプライチェーンマジメント

サプライチェーンマネジメントは原材料の調達から製品の配送まで、生産フローの全てを包括的に管理する概念です。

サプライチェーンを適切に管理することは企業経営にとって大きな課題となります。

サプライチェーンマネジメントには物流（ロジスティクス）だけでなく、システム管理などのソフトウェアも含まれます。

サプライチェーンマネジメントは企業のグローバル対応、IoT対応の対策としても有効です。

サプライチェーンマジメントとは

サプライチェーンマネジメント（SCM：Supply Chain Management）とは、原材料の調達から製品の配送まで製品やサービスに関する物の流れを管理することです。

サプライチェーンは物流やロジスティクスと似た概念ですが、ロジスティクスに加えて製品やサービスの受注管理システム、販売管理システムといったソフトウェアの管理を含んだ概念です。

ロジスティクスはサプライチェーンの一流に過ぎず、サプライチェーンは物流や物流管理システムまで総括した概念ということになります。

生産フローの管理

一般的に、企業の生産には以下のようなフローが必要となります。

原材料の調達
計画
製造・生産
物流
販売（在庫管理）
消費

単に原材料を調達して販売するというだけでなく、最終的に消費者（エンドユーザー）が消費するまでに様々なプロセスを経る必要があります。

具体的には、原材料を調達して、製造や生産をするための計画を練ります。

製品が完成したら、最終的に消費者へ届くまで適切な物流と販売の管理が必要です。

これらの経営資源を効率よく配分することで経営資源の最適化を図ることでサプライチェーンマネジメントを実現し、経営コストのスリム化に繋がります。

サプライチェーンマネジメントのメリット

サプライチェーンマネジメントを実現することで、以下のメリットがあります。

リードタイムの短縮
データ分析が可能になる
在庫管理が必要

サプライチェーンマネジメントは業務の無駄を削減し、生産から販売までの工程を見直すきっかけにもなります。

リードタイムの短縮

サプライチェーンマネジメントを実現することで、リードタイムを短縮できます。

リードタイムとは商品の受注から生産や輸送にかかる時間のことです。

サプライチェーンマネジメントが整っていない状態だと、商品の受注から生産までに時間がかかってしまいます。

適切な需要予測に基づいてサプライチェーンマネジメントが実施されている場合、商品を受注してから適切な生産体制に入れるのです。

リードタイムを短縮することで顧客に届けるまでの時間が短縮します。

また、在庫管理コストの削減や過剰在庫の削減も実現できるでしょう。

データ分析が可能になる

サプライチェーンマネジメントの実施には適切なデータ分析が必要です。

適切な需要予測を行うためには、店舗の販売状況や在庫状況を可視化しなければなりません。

サプライチェーンマネジメントのためにデータを活用することで、管理会計や経営計画にも応用できるのです。

在庫管理が可能になる

サプライチェーンマネジメントを行うことで、在庫の状況を明確にできます。

在庫管理を可能にすることで、過剰在庫の削減や在庫管理コストを削減できるでしょう。

サプライチェーンマネジメントは何故必要か？

サプライチェーンマネジメントが求められる要因として、労働人口の変化やオートメーション技術などの技術革新、ビジネスのグローバル化などが挙げられます。

サプライチェーンマネジメントは古くから存在する考え方ですが、技術革新やグローバル化によって24時間365日監視可能なシステムへの対応が求められるようになりました。

企業経営者にとっては、目まぐるしく変わっていく時代や技術革新の要求に対応するため、最新の動向に注視し続けなければなりません。

AIや自動化などの技術革新

サプライチェーンマネジメントが重視されるのはインターネット技術の発展、AIや自動化といった技術革新が背景にあります。

どこでも情報にアクセスできるようになり、AIや自動化によって私たちは365日24時間いつでもサービスを受けられるようになりました。

AIの活用によって、物流のみならず生産計画といった工程においても大きく人手を省略できるようになっています。

サプライチェーンとインダストリ4.0

サプライチェーンマネジメントはインダストリ4.0、すなわち第4次産業革命とも関連しています。

インダストリ4.0とは、AIや機械学習、自動化、IoTなどのオートメーション化技術を総括した概念です。

インダストリ4.0によって、手動作業の自動化など企業にとって大きな効果を期待できます。

サプライチェーンマネジメントにおいて、各工程をスリム化するためにはインダストリ4.0の技術が必要になるでしょう。

ビジネスのグローバル対応

インターネット技術が発展したことに伴い、ビジネス現場では大きくグローバル対応が実現できるようになりました。

サプライチェーンマネジメントでは、グローバルな動きにも高速かつ正確な対応が求められています。

消費者は欲しいときに欲しいものがいつでも手に入ることを当たり前のように捉えられ、企業は消費者のニーズに迅速な対応が必要です。

サプライチェーンマネジメントの成功事例

サプライチェーンマネジメントは経営者にとって簡単な課題ではなく、経営コストがかかる問題です。

しかし、サプライチェーンマネジメントに成功した企業では大きな成果を上げています。

トヨタ自動車株式会社など、グローバルに活躍している企業ではサプライチェーンマネジメントを用いたものづくりを実現しています。

花王株式会社

大手消費財化学メーカーの花王株式会社は需要予測を元にしたサプライチェーンの改善に取り組んできた事例です。

需要予測を担当者の主観によるものではなく、日次の販売実績が蓄積されたデータに基づく客観的な予測から需要予測の見直しを行いました。

店頭で購入・消費されている商品の売れ行きを分析することで、適切な需要予測を導きます。

導かれた需要予測について適切な在庫管理・および生産管理を行うことで無駄のないサプライチェーンを実現しているのです。

花王のサプライチェーンマネジメント戦略

ロジスティクス｜花王株式会社

サプライチェーンマネジメント戦略の一環として、花王株式会社のホームページでロジスティクス戦略が紹介されています。

花王はロジスティクス機能を競争優位の源泉として位置づけており、原材料の調達から生産、物流、販売までのプロセス改善を実施。

花王では自社のロジスティクス機能の優位性について「市場の需要に応じて、商品を速やかに滞りなく無駄なく供給する仕組みを構築する」としています。

適切な需要予測をすることで、優れたサプライチェーンを実現しています。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は日本最大手の自動車メーカーです。

日本企業の代表格でもあるトヨタ自動車は世界のグローバル企業に立ち向かうため、優れたサプライチェーンマネジメントを展開してきました。

自動車は多数の部品を組み立てて生産するものです。

世界の市場で自動車を販売するためには各地の市場に合わせた生産を行い、各地の工場やディーラーと連携する必要があります。

トヨタ自動車は部品調達の側面と市場特性からサプライチェーンマネジメントを展開し、世界の市場で売上をあげています。

トヨタ生産方式

トヨタの生産方式は「リーン生産方式」、「JIT（ジャスト・イン・タイム）方式」とも言われ、世界中で研究されているモノづくりの手本となっていいます。

トヨタの物づくりの考え方は必要なものを必要なだけ作る、不良品を作らないという考え方（自働化、ジャスト・イン・タイム）に基づいています。

こういった考え方はサプライチェーンマネジメントの考え方とも共通しており、生産プロセスをはじめとしたサプライチェーンを見直すことによって無駄を徹底的に省いています。

「物を造る場合の理想的な状態は、機械、設備、人などが全くムダなく付加価値を高めるだけの働きをしている」という理想を実現するために実施されているものです。

トヨタ生産方式は、「異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない」という考え方（トヨタではニンベンの付いた「自働化」といいます）と、各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する考え方（「ジャスト・イン・タイム」）の2つの考え方を柱として確立されました。
「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」の基本思想によりトヨタ生産方式は、1台ずつお客様の要望に合ったクルマを、「確かな品質」で手際よく「タイムリー」に造ることができるのです。
「TPS」と「原価低減」を徹底的に磨くことは、未来を生き抜くためにこそ必要だと考えています。また、TPSを開発部門にも導入し、開発期間の短縮や原価低減だけでなく人材育成にも役立てお客様から「愛車」と言っていただける「もっといいクルマづくり」につなげていきます。
トヨタ生産方式｜トヨタ自動車

株式会社日本アクセス

株式会社日本アクセスは、東京都品川区に本社を置く食料品を中心とした総合食品商社です。

日本アクセスの3PLセンター（※）では高精度な在庫管理や納品リードタイムの短縮によって最適な物流を構築しています。

日本アクセスでは需要予測機能、受発注機能を最適化することによってサプライチェーンマネジメントの成功を支援しています。

（※）3PL（サードパーティー・ロジスティクス）センターとは、荷主に対して物流改革を提案することで物流業務を受託・遂行するサービスです。

(1) 需要予測機能 … 需給情報に基き、最適な発注情報をお知らせし、在庫の無駄を無くします。
(2) 受発注機能 … 在庫商品はもちろん、鮮度管理の厳しい商品も注文から発注までスピーディーに処理します。
(3) 商品供給機能 … 必要な商品を必要な時に必要なところへスピーディーにお届けします。
(4) 品質管理機能 … 発注／入荷／出荷／納品まですべての工程で鮮度・温度管理をリアルタイムで行います。
(5) ロジスティクス機能 … お取引先（小売・仕入先）に必要・最適な物流機能を提供し、共同配送等含めコスト削減も実現します。
(6) 流通加工機能 … 流通の過程において付加価値を高めた商品を供給します。
(7) 実績管理機能 … 商流（金額情報）、物流（物量情報）情報をスピーディーに把握します。
基幹システム「Captain」の機能・特色｜株式会社日本アクセス

以上は、日本アクセスが取り組んでいるサプライチェーンマネジメントの機能です。

こういった取り組みによって、日本アクセスでは商品の受注から流通までの無駄を省いているのです。